共同研究
気象学研究室では、沖縄とその周辺地域を対象とした気象の観測やデータ解析を、
他大学や研究機関とともに行っています。
航空機を用いた台風内部のドロップゾンデ観測 (T-PARCII)
航空機で台風の中に入り、ドロップゾンデを投下して気圧・気温・湿度・風を直接観測するものです。得られたデータは数値シミュレーションに同化して使用し、台風予報の精度向上を目的とした研究に使用されます。数値シミュレーションが発達した現在において、台風の中心付近における「真」の値の計測は、検証材料としても台風構造の解明のためにも必要とされています。2017年には台風21号の眼の中での観測に成功しました。名古屋大学宇宙地球環境研究所の坪木和久教授を代表とする共同研究プロジェクトで、使用機材は
ダイアモンドエアサービスのガルフストリームII (JA8431)です。当研究室は航空機観測および沖縄での地上観測を担当しています。
気象レーダーを用いた台風の強度推定手法の開発
気象研究所台風研究部との共同で
1台のレーダーから台風の強度(風の強さと中心気圧)を高精度で推定する手法を開発しています。
これまでの計算結果は、
台風強度推定のページで見ることができます。
2015年8月に石垣島で被害をもたらした台風15号の強度推定結果については、報道発表を行っています。
(
琉球大学内の資料,
気象研究所内の資料)
今後はフィリピンのレーダーも用いて強度推定の観測範囲を広げる計画です。
高層気象観測
情報通信研究機構沖縄電磁波技術センターが所有する
ラジオゾンデ受信装置を使用し、台風や擾乱の通過時にラジオゾンデの放球を随時行っています。
Xバンドマルチパラメーター降水レーダー (琉球大学理系複合棟に設置)
名古屋大学宇宙地球環境研究所が所有するレーダーで、
理系複合棟の屋上に設置しています。
雲の中の風の流れと降水粒子の形状を調べることができる気象レーダーです。
台風や積乱雲の内部に存在する降水粒子の形態を調査することを目的として
2014年4月から運用しております。
Kaバンドマルチパラメーター雲レーダー (琉球大学瀬底研究施設に設置)
これも
名古屋大学宇宙地球環境研究所が所有するレーダーで、
沖縄本島北部の瀬底島にある瀬底研究施設の管理棟屋上に設置しています。
降水粒子より小さい雲粒子を観測することができる気象レーダーです。
雲の発生や、台風の上部にある巻雲の観測に威力を発揮します。
2016年3月に設置されました。